噂の真相・番外編
かなめちゃんに熱く語ってもらおう!



!注意!
このページは原作のネタバレを含みますので、読みたくない方は今すぐに戻ってくださいね。

さて、みなさんお待ちかねの「かなめちゃんに熱く語ってもらおう!」のコーナーです。私自身がネタバレされるのが嫌だったもので、原作でアンジョとガブがお亡くなりになるまでかなめちゃんのメールを読めず、公開が大変遅くなってしまいました。すみません。これよりさらに熱いメールもあるらしい(笑)のですが、とりあえずこちらからご紹介いたします。ご存分にかなめ・ワールドをお楽しみください。
ちなみに、大変詳しく書いてあるので、噂の真相キャラクター編のアンジョルラスとガブローシュはこちらにて代えさせていただきます(笑)。では、どうぞ!
マダム関野公認コーナー・ジャック!
「私に語らせなさいっ!☆アンジョルラス編☆」お相手は
”どこへでも出没する流離いの原稿書き(笑)”かなめでございます。

◇取扱い注意書
本編に進む前に。
まず、皆様頭の中に住まわせてらっしゃるアンジョルラスの具体的外見を
オール・クリアにして下さいまし。
185センチ強の長身にメッシュ入りソバージュ髪だったりするのとか
ちょっと跳ねた黒髪にキュートで円らな瞳の人気者だとか
そういったこと全部「無かったこと!」としてまっさらな状態で臨んで下さい。
約束よ(^_-*

◇小説に見るアンジョルラス
アンジョルラスは金髪碧眼の美少年で、ボンボンです。
・・・そう言ってしまうと身も蓋もないので(初めからそういう勢い削ぐようなことを・・・)
具体的表現を小説から幾つか拾ってみましょう。

★プロフィール
所謂プチ・ブルの一人息子。22歳学生。勿論独身。
南部出身でパリへは学業の為に上京。

これは何もアンジョルラスに限ったことではなくて、当時の典型的お坊ちゃま経歴。
パリ学生街・カルチェラタンには石投げればぶつかる程いた青年の一人に過ぎません。
彼らは自由になるお金と時間とをふんだんに使って花の都パリ、この世の春を謳歌し
時が来ればやがて地元へと帰っていき、可愛らしい婚約者とめでたしめでたし、
パリでの些細な不幸など無かったことのように丸く収まる、と言う将来が開けています。
(これらの詳細についてはファンティーヌの項で説明ありますね・・・マダム関野?)

アンジョルラスがそれまでにも沢山いた彼らと決定的に違ってしまった点、
それは、「時代」に捕まってしまった、ということ。
彼がパリで学業以上に取り付かれたのが「民衆の為の正義」という名の理想。
そうなるに至った詳細は語られません(それは当然なのですが・・・理由は後述)が、
その具現へ向けた社会的活動が彼の全てです。

★外見(そこだけ読んだ、という人も多いかと思いますが)
太陽神アポロンにもたとえられる天使の容貌をした人。
風にそよぐ金色の巻き毛、長い睫に縁取られた深い青の瞳。
額は聡明そうに高く、高潔なる真紅の唇からはきらめく美しい歯並びが覗き、
その死せる瞬間まで色褪せることのない薔薇色の頬をしてて・・・・・・

・・・・書いていて恥ずかしくなるのでこの辺で止めていいですか?(笑)
(もっと言って〜♪と言うマニアな方は請求書をマダム関野まで!)

ここでM田さん救済措置、でもないですが(失礼)。アンジョルラスの身長について。
作者ユーゴーは特に言及していないようです。他学生達と比較するような表現もないし。
挿し絵から想像しても
(ブリオンの描くアンジョルラスはイメージ違うからこの際無視・・・ひどい・・・、
リクスの描いたもの参照)
特別背が高そうには見えませんね。

外見年齢何と17歳!
全体、少年めいた容姿というから、手足がひょろりと長くてベビーフェイスなのかな。
紅顔の美少年ってところでしょうかしら。
ちょっと思想的に偏ったむさ苦しい男子学生達が酒場に集って、賭け事に興じたり
てんでに野次飛ばしあったりしている中、白皙の美少年が一人理想に燃えて熱く語ってる
と言う図は正に「掃き溜めに鶴」(ちがーうっっ!)

★性格
真面目。・・・終わってる・・・(笑)
彼の中には「革命」それ以外はないので、
ただひたすらそのことに対して、一途に真摯であり続ける。

また。「革命オタク」の一面も。
歴史について勉強しているのはフイィですが、アンジョルラスは革命について「だけ」は
やたら詳しい。古今東西の革命について些細なエピソードまで知っていて、
それらについてあたかも自分がそこにいたかのように語ることが出来る、というから
時代が違えば、彼も間違いなく「レマニ」の素質十分、ですね(爆笑)

★スクープ!アンジョルラスの彼女の名前はっ?!
バリケードへの砲撃があったその時に、彼の真紅の唇から漏れた名は、
ずばり・・・「パトリア」。
なぁんて言っても御心配には及びません。所謂「恋人」なんて言う存在はいませんから。
(かなめが保証しましょう・・・そんなもの要らない?)
パトリア、とは即ち、「祖国」。
くどいようですが、彼の全ては、ただひたすら「革命」「自由なる祖国」にあるんです。

そんな彼にはスクープして楽しそうな(?)私生活、というものはありません。
仲間と革命ついて語っている時間、革命の為のあれこれ情報操作、裏工作に要する時間、
それ以外にはない。
「レ・ミゼラブル:実際こんな人いたら恐い」ランキング(また勝手なことを・・・)
堂々第1位でしょう、彼は。
「思い込んだら一筋」のジャベールも或意味恐いですが、
最終的には「違う考えを受け入れようとする」彼と
(それによってジャベールの自我は崩壊してしまうわけですが)、
全く他の意見を耳に容れずにバリケードで玉砕してしまうアンジョルラスとでは、
その危険性がかなり違うでしょう?(敵作ったか・・・・?)

あ、蛇足ですが。
恋人はいないアンジョルラスも、生涯に2度だけキスをしたことがあります。
(私が物好きで数えたんではなくて、ユーゴーがわざわざ書いてあるんだってば!)
2度とも相手はマブーフという老人で、しかも死体になってから(その額と手に)だから
御贔屓のお嬢様方には「フライイングと思える」(=勘定に入れない)かもしれませんが

★死せる「革命の大天使」
ミュージカル最大見せ場といえば、その戦死のシーンですが。小説ではかなり違います。
これに関しては、主観無しには語れない、思い入れバッチリ(マイ・ベスト!)なので
どこか飛んでいってしまったら引き戻して下さいね、マダム関野(笑)

まず死に場所。
ミュージカルではバリケードの上、無謀にも立ち上がって旗を振る彼目掛けて銃声が・・・
という華々しいことになってますが、ああいう単純なことにはなりません。
小説では、押し寄せる国民兵達の勢いにじりじりと後退を余儀なくされ、とうとう彼らの
いつも集っていたカフェ(ミュージカルでは「ABC」小説では「ミューザン」)の
二階まで追いつめられます。
関野注・彼らがABC友の会を開いていたのは「ミューザン」というカフェですが、
このバリケードシーンの舞台になったのは「コラント」という酒場でした。

残ったのはアンジョルラス、そしてグランテールの2人だけ。
仲間達はアンジョルラスとグランテールの死んだ後、全滅、と言う形で描かれていますが
これも違って、彼らは皆アンジョルラスを守り、その盾となって次々銃弾に倒れていく。

弾薬もなく、剣もなく、寄る兵士達を殴って床尾が壊れてしまった銃の筒先だけを
持っているアンジョルラス。眦を決し、昂然と頭を上げる彼の姿は、尚敵に不安を与え、
誰も近付くことが出来ないほど。襲撃者達からビリヤード台を隔てた所、
部屋の隅に退いて、身動きすらせず腕を組んで立っているその威風。
自らの最期を甘受し、その瞬間矜持の念が一層彼を光り輝かせる。

或兵士は後の軍法会議で「アポロンと呼ばれる一人の暴徒がいた」と語り、
また実際その最期の場でアンジョルラスを狙っていた国民兵は、
一度構えていた銃を下ろしこう言います。
・・・・「花を撃つような気がする」
(うきゅーっっ!・・・この台詞だけは、ミュージカルで使って欲しかったなぁ・・・)

結局12人の兵士のずらりと並ぶ前に晒されたアンジョルラスは、8発の弾に貫かれ、
あたかもその場に釘付けにされたかのように壁に寄り掛かったまま、
ただ、頭を垂れて、死んでいきます。

その場にいたグランテールとのやり取りまで言及しないことには、
このシーンは説明しきれないんですが。
いずれ「グランテールについて」改めてコーナージャックしましょう
(←勝手・・・マダム関野が許さない気がする・・・)

★小説全編におけるアンジョルラスの重み
これだけ語りましたが。実はアンジョルラスが登場する場面は、わずかなんです(笑)
暴動のシーンというのは小説の中でそんなにウェイトをしめていないから。
実際の所はマリウスという人を説明するにあたってのサブエピソード的な扱いです。
バリケードからマリウスがバルジャンによって助けられ、そして・・・というところが
ユーゴーが小説としては語りたかった部分なわけです。
どうぞ、小説を読んで、アンジョルラスはどこ〜っっ!と思わないで下さいね。
ミュージカル化されて誰よりも脚光を浴びたアンジョルラスであった(笑)

アンジョルラス編・終わり


マダム関野公認(?)コーナージャック第2弾
「勝手に熱く語っちゃいましょう ☆ガブローシュ編☆」

◇取扱注意
記憶力をフルに投入すること。
97年「レ・ミゼラブル」最大の青田買いと噂される浅利陽介君やら、
涙腺直撃の演技、素顔はキュートな小学生、宇野まり絵ちゃんの姿を
思い浮かべながら、読み進めること。

◇少年ガブローシュの短き生涯
「レ・ミゼラブル」と言う作品に登場する大多数の人々がその時代の社会において
「誰もがなり得たかもしれない存在」その象徴として描かれているのと同様
ガブローシュもまた特別な存在ではない。
パリに沢山たむろしていた浮浪少年達のうちの一人。
そんなガブローシュの一生を小説の中に振返ってみよう。

☆略年譜
1820年 冬、モンフェルメイユにて誕生。 1823年 3歳。 1832年 12歳。 ☆外見的特徴・性格など
・色白く痩せていて、ぼろを纏い、2月の寒空でも麻のズボンをはいている。
・大人用のぶかぶかの靴は、どたどたと音がする。
・彼自身も豪勢な格好はしていないというのに、どこかからか拾ってきた女物の
毛織りのショールを、痩せ凍えた乞食少女にあげてしまったり、
自分も3日間、何も食べてなくても、老人に拾った財布をあげてしまうような
哀しいほど面倒見の良いタイプ。
・芝居を見たりするのが好きで、役者仲間に知合いが多いらしい。
・歌が好き。レパートリーは広く、途切れ途切れのマルセイエーズだったり、
流行歌だったり。全くのオリジナルを口ずさんでいる事もある。

◇噂の真相・追加
年譜中の注について少々解説しよう。
(別項「噂の真相」にてマダムが十分ご説明のことと存じます。重複は割愛下さい)
  1. ♪あのテナルディエ うろついていた/あの戦場 ワーテルロー!
    かの戦場でポンメルシーと名乗る将校は、テナルディエ軍曹を自らの最期を
    看取ってくれる人、と勘違い。(その実金入れと時計を漁られただけ)
    「我が生涯最大の恩人」として必ずその恩に報いるよう息子に遺言を残す。
    託された息子が、名前から想像出来るようにあのマリウス青年である。
    ・・・お人好しは確実に遺伝するらしい(笑)
  2. エポニーヌとガブローシュは正真正銘の姉弟。ミュージカルでは
    ♪あいつアバスレなんだ/誰が構うかよ、と辛辣なガブローシュだが、
    言うほど仲悪くはなさそうである。ガブローシュがエポニーヌを芝居に招待したり
    しているし、またそれをエポニーヌもちょっと自慢げにマリウスに語っている。
    両親の教育方針が方針なので、お互いを敬い合う家族、
    にはどうしてもなりようがなかったが。
  3. マニョン嬢はマリウスの母方の祖父、ジルノルマン氏の愛人。お盛んな氏との間に
    2人の子供を授かり、認知させていた。ところが、その大事な金づるである
    子供2人が流行り病で相次いで急逝。確実安易な収入源を失っては大変!
    運良く、テナルディエ夫妻の下2人と年格好が合致したことから
    「子供を借りる」事を思い付いた。
    結局子供のすり替えに気付かないジルノルマン氏は彼女に費用を払い続けたという
    引き取られた子供達(エポニーヌ・ガブローシュの弟達)は、
    マリウスにとって法規上の「叔父」という続柄になる。
  4. 入れ替わり立ち代わり「レ・ミゼラブル」の登場人物達が居を構えた
    通称「ゴルボー屋敷」。以前バルジャンが住んでいたが、この時点では
    テナルディエ一家とマリウスが、隣同士の部屋を借りている。
  5. 慈善家ルブラン氏の存在に目をつけたテナルディエは、まんまと氏とその娘を
    ゴルボー屋敷に誘き寄せた。大いに脅し透かし、大金を巻き上げようとすごんだ所
    その2人がバルジャンとコゼットであることに気付く。
    そこへ熱意の人、警視ジャベールが介入。混乱のうちに親子2人は逃げおおせる。
    関野注・コゼットはいなかったね。ジャベが来た時は。
    ミュージカルでは通りでいきなり襲われ、一時は取り押さえられるテナルディエ
    一党も被害者なしにより無罪放免だったが、
    小説ではジャベールによって一網打尽に捕縛されるのだ。
    ここで忘れてはならないのは、ジャベールに不穏な隣室の様子を予め
    訴え出ていたのがマリウスであった、という点である。マリウスとジャベールは
    お互いに面識があったと知れる。即ち、ミュージカル版のように、
    意図的に自らを偽ってバリケードに紛れることは、ジャベールには元より
    不可能だったということなのだ。
    ・・・だからぁ。このシーンかなり矛盾があるんですってば!
    (詳細は「吉田シスターズの仲良しページ」参照のこと)
    関野注・これ、マリウスの描写を見るとそうでもないよ。
    彼はほとんど夢遊病者のように戦闘に参加していて、周りはあんまり見てなかったし、
    ジャベールもそれなりに目立たないように入り込んでたからたぶん気づかなくても
    しょうがなかったと思う。ちなみにガブローシュは他の人を励ましたりとにかく
    飛び回ってたので、しばらくこの大男に気づかなかった、という描写もあり。

  6. フランス革命の発端として有名なバスティーユ牢獄。
    (かの「ベルばら」でもオ●カル様が叫んでいる「バスティーユへ!」・・・笑)
    破壊された牢獄跡に革命の記念碑が建てられることになっていたが実現には至らず
    また、ナポレオンがこの場所にブロンズの巨象を置く計画を立てたが、
    本人の失墜により宙に浮いたまま。建造途中、模型の段階で打ち捨てられた
    張りぼての象が、設定当時1832年頃にはまだ姿を晒していたようなのだ。
    これより14年後、1846年に完全に撤去されたという。
  7. 自分も空腹だったのだが、食べる物が尽きたと途方に暮れる老人を
    見て見ぬふりが出来ないのがガブローシュ。庭先にひょいと財布を投げ入れて
    名も告げず、立ち去る。(○○仮面のようだ・・・笑)因みに彼が投げ入れた
    (元々は拾った)中身がずしりと重たいその財布は、元を辿ればバルジャンの物。
    この場合、拾得物横領の罪は誰に対して問われるのだろうか。
    関野注・ちなみに、なぜバルジャンの財布がガブローシュの手に渡ったかと
    いうと、モンパルナスがバルジャンの後をつけていて(金を持ってそうでしかも老人だったから)
    襲いかかったのだけれど、逆に取り押さえられちゃってビックリ。どう見ても老人の
    バルジャンに捕まって唖然としているモンパルナスに、バルジャンは「悪事をすることは
    牢獄へ行くことだ。つまり地獄へ行くことだ。そんなに地獄へ行きたいか?いいから
    真っ当な生き方をするんだ!」と説教までされて財布を渡されたのだった。
    これがたまたまマブーフ老人の家の前での出来事だった。後ろのポケットに財布は入れたものの、
    立ち去るバルジャンを呆然と見送るモンパルナスの後ろからガブローシュがそ〜っと抜き取ったと
    いうわけ。

  8. 歴史に「もし」はタブーだが。ここでもしガブローシュが助け出さなかったら。
    プリュメ街のバルジャンの屋敷が襲われることもなく、バルジャンが
    コゼットを連れてイギリスへ渡ろうと思うこともなく、そうすればエポニーヌが
    死ぬことも・・・と考えていってしまう。
  9. 敵の様子を知らせるのがジャベールだったり、
    狙撃兵の襲来に対する注意を喚起するのが見張りの学生だったり、
    コゼットに手紙を届けに行くのがエポニーヌだったり。
    バリケードのシーンはミュージカル化にあたってかなり改変されている。
    (個々についての検証はマダムの「噂の真相」を参照のこと)
    まるでそれぞれで見せ場を分担し合っているようだが。
    それぞれエピソードとしてはミュージカルにおけるポイントを占めていること、
    それらが本来は全てガブローシュの役割であったこと、から推察すれば
    「レ・ミゼラブル」と言う作品全体における少年ガブローシュの位置づけが
    自ずから知れよう。
    ずばり
    「バリケードシーンの真の主役は、ガブローシュなのである!」
    ・・・と、鹿島氏も言っておられる。(ちょっと逃げたな・・・笑)
アンジョルラス信奉者(及び学生援護会)を真っ向から敵に回すような、
高飛車な一説をぶち上げた所で、そろそろお開きと致しましょう。
これからは夜道に気をつけなくちゃ(笑)
それでは。異論・反論はどしどし「レマニ」気付、かなめまで!
(間違ってもマダム関野に詰め寄っちゃいけませんよ)

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copyright (C) Mikiyo Sekino